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皆さま3月22日

 投稿者:三代川  投稿日:2009年 3月22日(日)20時17分36秒
返信・引用
  長らくお待たせいたしました。ご依頼の添削依頼・質問への回答です。

ホームページ会員(HP会員)制のご案内
会員の種別
・俳誌会員 従来通りの会員。毎月雲の峰を送ります。年会費12000円
・HP会員 雲の峰は送りません。HPで見て下さい。年会費 6000円
HP会員は月刊「雲の峰」を送らない以外は俳誌会員と全く同じです。
・「雲の峰」の作品集、課題俳句など全ての欄に投稿できます。
・投稿作品は選句・添削し、「雲の峰」誌、およびHPに掲載します。
・HP会員は雲の峰の句会イベントなど全てのことに参加できます。
ご入会をお待ちしております。詳細は雲の峰HP
http://www2.ocn.ne.jp/~riki/
の、「雲の峰紹介・会員募集中」でご確認頂くか、三代川
17575miyokawajiro@jcom.home.ne.jp
あてにお問合せ下さい。


仲山様
原句 外国人春のグラバー園観光す
感想 新聞の見出しのような一句。観光している外国の人たちがどんな
   様子だったのかなど、仲山さんの感動がないと俳句にはなりませ
   ん。どんなことに感動したのか、何に驚いたのか、あるいは何か
   発見があったのか……。そんなことをヒントにもう一度考えてく
   ださい。

朝子様
原句 陽春の川面に遊ぶ舟あまた
感想 嵐山の光景ということですが、作品の中でそれを出したいところ。
   ボートの浮かんでいる川は大堰川(おおいがわ)と言いますので
添削 春風や小舟あまたに大堰川

Noraさま
原句 蒔く老女に何の種かと跼み聴く
感想 まず老女と書いて「ひと」と読ませるには無理があります。
      娘とかいて「こ」、亡母と書いて「はは」など俳句の世界では多く
   つかわれてはいますが、日本語を正しく使うという立場から見ると
   感心したこととは言えません。これを良しとしますと、魚にトリ
   とルビを振ることも良しということになります。
   また、「種蒔く(種蒔き)」ですが季語の世界では稲の種籾を苗代
   にまくことを指します。稲以外の種を蒔くことを物種蒔くといい
   ますので、これを使います。ここでは声を掛けた……という情景
   で詠んで見ましょう。
添削 物種を蒔きゐる人に声を掛く

高円寺さま
原句 雑踏の中遍路笠見え隠れ
感想 遍路道ならともかく、町中の遍路さんの姿が珍しい一句です。
   切れを確認するために句点(。)を打ってみます。
    雑踏の中。遍路笠。見え隠れ。
   となっています。ちょっとごつごつした印象になりました。原句
   はもともと
    雑踏の中に遍路笠が見え隠れ(している)
   という一句一章の内容ですから、接続する助詞は省略が難しいと
   ころです。ここは見え隠れと言わなくとも、充分に詩情(驚き等)
   があるように思いますので、
添削 雑踏の中を急げる遍路笠

海人さま
原句 新緑を裂く剣の如滝の水
感想 ご自身でおっしゃっている通り「新緑」「滝」で季が重なってしま
   いました。ここはどちらかに焦点を絞りたいものです。表現とし
   ては新緑を切り裂くというフレーズをお使いになりたいところで
   すが、ある景を何かにたとえるとその感動は読者に伝わりづらく
   なる場合があります。剣の如を一水などと言い換えます。
添削 新緑を裂きて一水落ちにけり

楓山人さま
原句 嵐止み犇めきかほる沈丁花
感想 通勤の途中に沈丁花がさいています。そのそばを通る人を見てい
   ると、振り返ったり、少し立ち止まったりとそれぞれがその香を
   楽しんでいるようです。表記の「かほる」は誤用です。正確には
   「かをる」。小椋佳の「シクラメンのかほり」から誤用が広がった
   ようです。ここは平易に
添削 雨過ぎの香の犇ける沈丁花

奈津さま
原句 茎立ちや跡継ぎの無き田と畑
感想 日本の食料自給率を見ると暗澹たる気持ちになります。この不景
   気で職を失った方たちを農業にという動きもあるようですが、日
   本の農業の自立の決定打には程遠い気がします。
添削 跡継ぎの帰り来ぬとや茎立ちぬ

滝口健一さま
原句 園児らの数より多し男雛かな
感想 掲句をよむと男雛の数が園児よりも多い。ということを表現して
   いますが、そこの何に作者として詩情を見たのかということが読
   者にうまく伝わってきていません。ここでは園児が雛段の前にか
   しこまって座っている景をイメージしてみました。
   なお、原句「多し」とありますが、これは終止形ですので男雛に
   つながってくれません。正しくは「多き」とあるべきです。
添削  雛飾る前に正座の膝あまた

岩田 勇さま
原句 日永かな全八巻の三国志
感想 三国志はいつの時代でも人気のある小説。日本でも多くの作家が
   三国志を書いています。掲句の本は吉川英治のものでしょうか。
   さて、この句を文章としてみると「日永かな。全八巻の三国志。」
   というように。2つの文章になります。ここは一句一章にして、
添削 巻八の三国志読む日永かな

菅原正志様・淳子様・桜野ひすい様・ふう子様・せいち様・島津康弘様
メッセージありがとうございました。
俳句は17文字の自分詩、そして1日1行の自分史。これからも楽しんで参りましょう。
 

木村様

 投稿者:三代川  投稿日:2009年 3月 9日(月)06時05分53秒
返信・引用
  8日回答の文章にお名前が抜けておりました。
以下が正しくなります。失礼いたしました。

木村様
原句 涙雨 向日葵つたる 水の跡
感想 始めたばかりとのこと。俳句は短いだけに、単純でしかも恐ろし
   いほどの深みを持っています。それだけに基本をしっかりと身に
   つけつつお楽しみ下さい。そう言えば楽しみながら学習できると
   いうのも俳句の一つの特徴ですね。
   まず、表記の点から。五、七、五の間にスペースを入れる必要は
   ありません。俳句は十七文字の詩としての文章ですから、一気に
   書き下してください。
   涙雨……。「虎御前の涙雨」のように、ある人の涙が雨となって
   降ることをさします。
   つたる……。「伝ふ」とあるべき言葉でしょうね。
   句意としては向日葵に雨の跡が残っていたということを表現した
   いのだと思いますが、このままでは意味が伝わってくれません。
   ここでは雨の後の向日葵ということで
添削 向日葵の幹を伝へる雨の粒

http://www2.ocn.ne.jp/~riki/

 

皆さま3月8日

 投稿者:三代川  投稿日:2009年 3月 8日(日)11時35分1秒
返信・引用
  長らくお待たせいたしました。ご依頼の添削依頼・質問への回答です。

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原句 涙雨 向日葵つたる 水の跡
感想 始めたばかりとのこと。俳句は短いだけに、単純でしかも恐ろし
   いほどの深みを持っています。それだけに基本をしっかりと身に
   つけつつお楽しみ下さい。そう言えば楽しみながら学習できると
   いうのも俳句の一つの特徴ですね。
   まず、表記の点から。五、七、五の間にスペースを入れる必要は
   ありません。俳句は十七文字の詩としての文章ですから、一気に
   書き下してください。
   涙雨……。「虎御前の涙雨」のように、ある人の涙が雨となって
   降ることをさします。
   つたる……。「伝ふ」とあるべき言葉でしょうね。
   句意としては向日葵に雨の跡が残っていたということを表現した
   いのだと思いますが、このままでは意味が伝わってくれません。
   ここでは雨の後の向日葵ということで
添削 向日葵の幹を伝へる雨の粒

菅原 正志さま
原句 恋雀つぎつぎ蕾揺らしをり
感想 恋雀は「鳥交る(とりさかる)」の副季語。掲句、繁殖の時の鳥の
   動きを発見、観察しています。このままでもできていますが、ま
   だ散文調、報告調が残っている印象です。
添削 幾たびも小枝を移り恋雀

仲山さま
原句 いちごにはミルクたっぷり空ははれ
感想 どことなく口語調が漂う作品。このままでいいと思います。

たけとしさま
原句 咲揃ふ梅見茶席の端に侍る
感想 観梅の茶席でしょうか。その時をスナップしています。ただ、色々
   と言いすぎて言葉が多くなってしまいました。ここでは少し言葉
   を整理して
添削 梅東風やゆるりとすすむ師の点前

未音さま 季語「夏蜜柑」について
夏蜜柑ですが、歳時記により扱いはまちまちです。私の手持ちの歳時記の何種類かでも「春」と「夏」に分かれていました。
春に分類されているもの
 「新歳時記」    河出文庫    平井照敏編
 「現代俳句歳時記」 主婦と生活社  石田波郷編
 「合本俳句歳時記」 角川書店
夏に分類されているもの
 「俳句大歳時記」  角川書店
 「日本大歳時記」  講談社
 「実用季寄せ」   東京新聞出版局 皆川盤水監修
というように扱っている季節が異なりました。
解説を見比べてみると、果実の収穫の時期の取り扱い方で異なっているようです。角川の大歳時記では「・・・秋に熟すが、翌夏に収穫するのでこの名がある」と記されています。
ちなみにこの添削コーナーでは季語の一次資料として「角川大歳時記」
を採用していますので、夏の分類といたします。

淳子さま
原句 霾晦夫帰るや杖の音
感想 霾晦(よなぐもり)は中国の砂漠から細かい砂が季節風にのりや
   ってくる黄砂のこと。霾(つしふる)ともいいます。その中を
   出かけて行かれたご主人を気遣う作者。ただ、この形のままだと
   「霾晦。夫帰るや。杖の音。」と言うように三つの文章に切れてし
   まいます。ここは中七下五を一つの文章にして
添削 霾晦夫の帰る杖の音

noraさま
原句 春愁やひねもすのたり家事終へぬ
   春愁や家事をひねもすのたりかな
感想 ひねもすのたりの意味は「ひねもす(一日中)のたり(ゆるやか
   にうねっている)」という意味になります。であれば、「ひねもす
   のたりと家事終へぬ」と「と」を省略できない所です。
   それ以上に蕪村の
    春の海ひねもすのたりのたりかな
   がありますので、ここはこのフレーズから離れて家事をしていて
   感じた春愁に焦点をあててみました。
添削 春愁や色の移りし濯ぎ物

桜野ひすいさま
原句 やはらかき波のうねりや春近し
感想 季語のあっせんが適切と感じます。春そのものですと「やわらか
   な波」という把握と近くなりすぎて詩情として平板になってしま
   う気がします。春が近いということはまだ冬。その中でのやわら
   かな波の発見が光っています。このままで結構です。

ちょろさま
原句 夜寒し赤子の如く猫を抱く
感想 お父様と共通の趣味を持てるというのはうらやましいですね。句
   の形としては十分に出来上がっています。あとはこのような風景
   の中から実感として何を発見するかがポイントになってくると思
   います。
   夜寒し。寒しですので冬とも思われますが、「夜寒」といえば秋の
   季語。いまは春ですので、季節があってくれません。
添削 雪催赤子のごとく猫抱く   雪催=ゆきもよい 抱く=いだく
   今の季節でという場合は「春雪や」とすればいいと思います。

ふう子
原句 日の欠片こぼるる野井戸梅真白
感想 ご自身でもおっしゃっていますが中七、下五の漢字の重なりが気
   になります。それ以上に何に感動したのかが伝わってくれません。
   「日の欠片」という言葉を使いたくて……という印象になってし
   まいます。「野井戸」にしても同じ印象です。思いよりも、ア!と
   感じた場面を主体に詠みましょう。
添削 野の隅に使はぬ井戸や梅真白

せいちさま
原句 つくしんぼ老いも混じりて土手滑り
感想 童心に帰っての遊びでしょうか。表現としては少し報告になって
   しまいました。土手を滑っての遊びですので、作者は土手に生え
   ている土筆を気にしているのだろうか……とも思われてしまいま
   す。こんな場合は例えば聞える季語などを配置して
添削 揚雲雀土手を滑りて老いと子ら

楓山人さま
原句 歳重ね産毛に還る翁草
感想 残念ながら翁草を実際に見たことはありません。インターネット
   で写真を見てみると楓山人さんがおっしゃる通り。春先の翁草は
   産毛で覆われ、五月になると種子が白髪のようになります。
   この繰り返しの様子を句にされたと思いますが、この表現のまま
   ではその思いが読者に伝わりません。俳句は短い詩型ですので、
   そんなに多くの事柄は語れません。その意味で目の前にあるもの
   で表現をすることが読者の共感を得やすい近道となります。
添削 翁草朝の光を纏ひつつ

杉浦 太一さま
原句 ガス灯や小樽運河の軒氷柱
感想 このままの表現でも十分とは思いますが、運河の軒氷柱がやや成
   立しがたい印象。運河に軒はありませんので、無理感が出てしま
   うようです。そこで「や」と「の」を入れ替えてみます。
添削 ガス灯の小樽運河や軒氷柱

高円寺さま
原句 ハチ公の銅像囲む春の服
感想 待ち合わせ場所の名所の一つであるJR渋谷駅前のハチ公の銅像。
   その周りに春の装いをした人たちが立っているという風景。中七
   表現が少し報告調になってしまいました。ハチ公の前に春服の人
   がいた……というのではなく、その春服や春服の人がどうであっ
   たかを写生します。
添削 ハチ公を囲み春装にぎはしき

仲山さま
原句 お互いに共感うなずきて春の空
感想 表現として
    お互いに共感。うなずきて春の空。
   となり、二つの文章から成り立っています。意味としては
    お互いに共感した。うなずいて春の空(春の空が頷くとも)
   というようになり、意味もわかりません。
   気持ちを語るのではなく、あったこと、あった風景などの物や事
   柄を正確に表現するようにしてみてください。お友達と身の上話
   をしたという事実を、
添削 身の上の話あれこれ二月尽

黙さま
原句 神饌の鯉放す川水温む
感想 良い光景すかさず句にされました。情景は大変良く分かりますが
   表現として見た場合に「神饌の鯉放す川。水温む。」という二句一
   章の句型となりまが、川と水温むの性質が近すぎるため、二句一
   章の表現(取合せ)が成立してくれません。川の水が温んだと、
   一方の説明になってしまうのです。たぶん一句一章でこの景を詠
   まれたかったのだと思います。その場合には「神饌の鯉放しやる
   温む川」と言うようになると思いますが、何となく報告調になっ
   てしまいます。ここははっきりと二句一章にして、
添削 春風や神饌の鯉放しやる


正憲さま
原句 吊橋を来る着膨れとすれ違ふ
感想 吊橋という場所のあっせんが大変効いています。狭いつり橋の中
   ですれ違った着膨れの存在感の大きさがこの句作らせたのかもし
   れません。このままで結構です。

永澤 章四郎さま
原句 春雨や 小山の 雪もとけるかな
感想 まず表記の点から。五、七、五の間にスペースを入れる必要はあ
   りません。俳句は十七文字の詩としての文章ですから、一気に書
   き下してください。この句の場合、季語が二つ入っています。い
   わゆる季重なり。季重なりが絶対に駄目ということではありませ
   んが、初心の時には十分に気をつけてください。お手元の歳時記
   を良く読んでみ下しさい。今回は雪解けの句としてみました。
添削 ひと雨に小山の雪の解けにけり

俳句は短い詩型であるがゆえに大変奥深いものです。これからも皆様と
ご一緒に学んでいきたいとおもっております。
 

皆さま

 投稿者:三代川  投稿日:2009年 2月21日(土)15時33分42秒
返信・引用
  長らくお待たせいたしましたご依頼の添削・質問への回答となります。
よろしくお願いいたします。

雲の峰のご案内
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モンク屋さん
ご指摘ありがとうございました。
ご指摘の通り、私どもはいわゆる差別語・不快用語は使わないということを
一つの基本にしております。
その基準としているのが共同通信社の「記者ハンドブック」です。
ご指摘の「八百屋」は「記者ハンドブック」には採録されておりません。
念のため最新版(第11版)でも確認しましたが見あたりませんでした。
ただしWebで確認するとランクCの扱いで掲載されております。
そこで主宰の意見も聞いたのですが、
 ・「記者ハンドブック」に掲載されていないから使っても良いというものではない。
 ・誰かが言い出したら一切使ってはいけないということでもない。
 ・二重基準でも困るので、従来通り「記者ハンドブック」に準拠する。
 ・言葉を選ぶときは「使われた側に立って考える」ということを第一に考える。
というようなことことになりました。
添削 はやたらの芽の並びゐる八百屋かな
この作品、早くもタラの芽をならべている八百屋……ということで、八百屋さんが
不快感を感じる内容とも思えません。
しかし一部の人であれ、もし不快感を催すということでしたら

添削 はやたらの芽の並びゐる野菜棚

というように訂正したいと思います。


菅原 正志さま
原句 曲家の雪解雫のかがよへる
感想 曲家は東北の南部地方が有名です茨城県の一部にも見られるようです。
   もともと南部地方は馬の産地。馬を大事にすることがL字型に母屋と厩を
   つなげた家の形を作らせたのでしょう。その曲家の茅葺の屋根から雪解の
   雫が日がな落ちてくる様子。そのことを飾らずに表現されています。
   このままで結構です


楓山人さま
原句 杉花粉止まぬくっさめ散策道
感想 今や花粉症は国民病。全国で2500万人ぐらいの方々が花粉症で苦しんでい
   ます。その医療費だけでも約2000億円ぐらいとか。国家的な損失です。
   さて、この作品ですが文章としてみると「杉花粉。止まぬくっさめ。散歩
   道」と言うように3つの文章からできていることとなり、一般的に言う三段
   切れとなってしまいました。文章として整えてみました。ちなみに角川の俳
   句大歳時記では花粉症が副季語になっていました。
添削 杉の花散歩に行くも鼻紙を


noraさま
原句 アンニュイな春昼過ぎの洗濯や
感想 アンニュイはフランス語で「心が晴れず、けだるい事。倦怠」などという意味。
   その意味では季語として「春愁」という言葉があります。俳句は短い詩型です
   から、「春昼のアンニュイ」という九文字を「しゅんしゅう」「はるうれひ」
   と短く表現できます。(フランス語のもつ洒落た感じはでませんが)。ここで
   は春愁という季語を使ってみました。
添削 春愁や洗濯物を干し終へて


峰世さま
原句 足裏をくすぐるごとく芝青む
感想 草萌えの時期です。作者は思わず裸足になって若芝の上を歩いているのでしょう。
   その柔らかさをくすぐるごとくとして表現をされました。句の形は出来上がって
   います。このままで結構です。

http://www2.ocn.ne.jp/~riki/

 

皆さま

 投稿者:三代川次郎  投稿日:2009年 2月10日(火)09時39分8秒
返信・引用
  長らくお待たせいたしましたご依頼の添削・質問への回答となります。
本年も皆さま方とご一緒に俳句を学んでまいりたいと考えております。どうぞよろ
しくお願いいたします。

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岩田 勇様
原句 誕生の着信メール地虫出づ
感想 言葉ですが着信メールではなく、メール着信とすべきと思います。
   また地虫出づという季語ですが、誕生をイメージさせようとして却って理屈っぽく
   なってしまいました。季語はある程度離して使います。
添削 誕生とメール着信夕の東風

ふう子様
原句 暁闇の星明かなり初日待つ
感想 星明かなり……。これは「星明かりなり」でしょうか。初日を待っているのであれ
   ば「暁暗」は全く無駄というより、邪魔な言葉になってしまいます。星の明るさに
   感動したのであれば、その感動を入れなくては一句として成立しがたいものがあり
   ます。初日を待つという心と通いあう情景を写生しましょう。例えばヘラクレス座
   が上りきったとしますと
添削 山の端にヘラクレス座や初日待つ

仲山様
原句 お互いに共感し合う春の空
感想 季語があって575になってはいるのですが、
    作者が誰と共感したのか
    なにを共感し合ったのか
   そこが分かりません。これが分からないと添削のしようがありません。どんな場面
   なのかを書いて投稿して下さい。

こーじ様
原句 福は内病床の上豆かじり
感想 表現したいことを明確にする意味で句点(。)を打ってみます。
    福は内。病床の上。豆かじり……
   となりますね。言いたいことは何となく分かるのですが文章としての意味は通じて
   くれません。俳句は日本語の文章ですから、正しく伝わるように表現します。
添削 病床に起き節分の豆かじる

高円寺さま
原句 橋潜り堰超え落つる春の水
感想 俳句は短い詩型ですから自ずと詠めることは限られてきます。季語の持つ力や、
   省略などの表現で読者の鑑賞の自由度があがり、イメージを膨らませることが出
   来ることになります。その意味でご自身も言われているように時間の経過をその
   まま詠むと、なんとなくその景色の報告のように感じてしまします。ここはどこ
   か一点に焦点を合わせ
添削 堰落つる時盛りあがる春の水

杉浦 太一さま
原句 悴みし手もて封切る清め塩
感想 葬式の返礼についてくる袋入りの塩の封を切っているのでしょうか。真冬の通夜
   帰りの風景。良い所を見ていると思いますが、表現としては「悴みし」の助動詞
   「し」は過去を回想する助動詞「き」の連体形です。 その意味でこのままであ
   ると過去の通夜なりの帰りを回想していることとなります。
   現在のことにするならば悴むの命令形「かじかめ」+「る」(完了の助動詞「り」
   の連体形)として
添削 悴める手もて封切る清め塩

奈津さま 投稿日:2009年2月6日(金)
原句 雛の眉仕上げは師の手に委ねけり
感想 日本画をおやりなのでしょうか、それとも雛人形つくりかも知れません。余談です
   が、アイススケートの浅田真央選手を見るたびにお雛さま顔だなーと感じています
   いかがでしょうか。さて、この句の場合に形として気になるのは中八の字余り。こ
   こをどうにかしたいところです。
添削 仕上ぐるに師に描きもらふ雛の眉

せいちさま
原句 武はり行く寒行僧の目のやさし
感想 上五の「武はり行く」の言葉が分かりづらいように感じます。正確には「武を張る」
   となると思います。この表現の場合助詞の「を」は省略できません。また下五にも
   目のやさしと、寒行の僧を上下から修飾してしまいました。ここでは「武を張る」
   か「目のやさし」かの、どちらか一方(感動の強い方・詩になる方)を残します。
添削 寒行の僧のやさしき目元かな

海人さま
原句 東雲を奏でる光初詣
感想 奏でるという言葉は「舞を舞う。琴などをかきなでて鳴らす(広辞苑)」の意味で
   この句の場合には朝の光を「擬人化」が読者に伝わりづらいように感じます。擬人
   化ではなく東雲の状態を写生してみます。
添削 東雲を光透けくる初詣

淳子さま
原句 退院の夫待つ日や春支度
感想 新年早々のご入院とのことご心配だったことでしょう。まずは退院が近付いたとの
   こと、何よりです。この句このままでも結構ですが、歳時記によっては春支度は新
   年を迎える用意(年用意の副季語)で採録しているものもあります。そのあたりの
   誤解を避けるために、季感はちがってしまうかも知れませんが、
添削 退院の夫待つ日や毛糸編む
   などのような作り方もあるように思いますがいかがでしょうか。

峰世さま
原句 冬篭り勧誘電話の多かりき
感想 不景気になって、一段と勧誘の電話が多くなったように感じます。金融機関や健康
   食品、お墓、先物取引などなど、一日に何回かかかってくる場合もあります。この
   句の場合、下五の「き」は過去を回想する助動詞ですので、「電話の勧誘が多かっ
   たなー」という意味になってしまいます。現在の事として読むのであれば、
添削 勧誘の電話の多き冬籠
   なお、多きは「多し」という形容詞の連体形です。

なつめさま
原句 いちじつをひきとめてをり燗の酒
感想 このままの句意であれば「燗酒が一日(もしくはある日)を引き止めている」とい
   うことになってしまい、作者が何を表現したいのかが分からなくなってしまいまし
   た。呑み助のわたくしでしたらば
添削 一日の暮るるを待ちて燗の酒

楓山人さま
原句 店先の菜に誘われ春近し
感想 山菜が生えているような自然は私の身の回りにありませんので、作者と同じように
   八百屋の店先で季節を感じることがあります。さて、この句の場合の言葉で曖昧な
   ところは「菜」。広辞苑では「副食物。おかず」とあり、作者が意図したと考えら
   れる「山菜」という意味で読者はとらえきれないと思います。ここでははっきりと
   対象をよみ、早春の感じを出すように考えてみました。
添削 はやたらの芽の並びゐる八百屋かな

邦光さま
原句 寒風にわが子飛び立てエアポート
感想 お子様の見送りの風景。搭乗ゲートまでの見送りが一般的なようですが遠くの国
   への転勤でしょうか。寒風という季語にこの別れが作者にとって重要な出来事で
   あることが暗示されています。表現としは「飛び立て」ですと已然形もしくは命
   令形であるため、意味が判然としません。ここは作者がエアポートのデッキで見
   送ったこととして
添削 寒風に我が子見送るエアポート


滝口健一様・ひかり様・仲山様・ふう子様・菅原 正志様
メッセージありがとうございました。
これからもお楽しみ下さい。
 

皆さま

 投稿者:三代川  投稿日:2009年 1月24日(土)10時45分25秒
返信・引用
  皆さま

長らくお待たせいたしましたご依頼の添削・質問への回答となります。
本年も皆さま方とご一緒に俳句を学んでまいりたいと考えております。どうぞよろ
しくお願いいたします。

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・俳誌会員 従来通りの会員。毎月雲の峰を送ります。 年会費12000円
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17575miyokawajiro@jcom.home.ne.jp
あてにお問合せ下さい。


菅原 正志さま
原句 艶めける竹もて均すどんどかな
感想 どんどは吉書揚などともに「左義長」の傍題。十四日もしくは十五日の朝に行われる
   もので、今では正月の注連飾りや松飾りを焼く行事になっています。掲句の場合の表
   現として少しわかりづらいのが「竹もて均すどんどかな」の表現。均すとしますと、
   多くは灰を均すように感じます。しかしコメントを拝見しますと火の勢いを調節とあ
   りますので表現したいことがずれてしまったようですね。
   また艶めけるは余分かな……という印象です。竹はこの場合脇役ですので、それほど
   強調しなくともいいように思います。
添削 青竹をもて猛らするどんどの火

ひかりさま
原句 み空から続きたまふか雪の影
感想 直接的な句意は「雪の影は空から続いているのだろうか」ということになろうかと思
   います。しかし「み空」という接頭語、「たまう」という尊敬語、雪の影の「影」な
   どが句意を曖昧にしてしまいます。いわゆる主観の強い作品。ひかりさんの主観が全
   面に出ているため、何に感動し、何を表現しようとしているのか読者には伝わりにく
   くくなってしまいました。
   まずは句作の対象物をよく見る。そして感動した部分を読者に伝わるように表現する
   ことをおすすめします。(これを一般的に「写生」と言っております)。
   もし影が光やものの姿ではなく、雪に光が当たってできる影というのでしたら
添削 影持たで降りつぐ雪を仰ぎけり
   という位で我慢しましょう。

ふう子さま
原句 遠ざかる夜番の声や煽ち風
感想 一年で一番寒い季節で、冬型の気圧配置で太平洋側は空気が乾燥し、火事のニュース
   がたえません。掲句、遠ざかる火の用心の町内の夜回りの声が「煽ち風(あふちかぜ)」
   の音の中に急に小さく聞こえるようになったのはドップラー効果のせいかも知れませ。
   んこのままで結構です。

菜津さま
原句 ケータイの時報の明かり冴ゆる夜
感想 入門書をお読みとのこと、これから俳句を一緒に学んでまいりましょう。
   句の意味は携帯電話の画面の明かりが、冴える夜に仄明るく見えたということでしょう。
   単にケータイといえば携帯電話をさす世の中。時報の明かり(正しくは明り)とあり
   ますので、携帯電話であると特定できます。
   なお「明り」とここで言い切らず、下五まで続けた方が、勢いがでるように思います。
添削 ケータイの時報明るき寒夜かな

高円寺さま
原句 手袋に缶コーヒーの温みかな
感想 健康のためにウォーキングをやります。今の季節はウインドブレーカーを着ていても
   冷えが体の芯に迫ってきます。掲句は寒い中で缶珈琲の温みを手袋越しに感じている
   風景。このままで結構です。なお、温しが春の季語ですので、それとのまぎれをなく
   するという意味で「皹の手に缶珈琲をつつみけり」などとしても結構です。

岩田 勇さま
原句 冬木の芽どれも一徹居士のやう
感想 冬木の芽を一徹居士のようだったと感じたことをストレートに詠んでいます。このよ
   うな表現になると読者は作者の主観や感情の枠以上に作品を鑑賞できなくなります。
   俳句は十七文字の短い詩型であるため、主観が表に出すぎている表現になればなるほ
   ど読者の鑑賞の余地が減ってしまうことになります。冬木の芽が寒さの中でしっかり
   と命を内包している様子をそのものを注視することで表現をしてみてみましょう。
添削 地にふるるほどの枝垂や冬木の芽

りんどうさま
原句 暖房車座るなり通帳見る男
感想 電車の中の風景でしょうか。座席に座るなり貯金通帳を見ている男に面白みを感じ
   たのだと思いますが、読者にはその面白さ(ある意味では作者の感動)が伝わって
   来ないように感じます。もし作者ご自身がそうされたのであれば面白いのですが、第
   三者が面白い行動をしても中々俳句にはなりにくいのが現実。
   句形ですが、暖房車。とここで切れておりますが、ここは「暖房車に」と助詞「に」
   を省けないところです。また、椅子やベンチは座るよりも掛けるという方が妥当のよ
   うにも感じます。ここは暖房という暖かな印象(季語の本意本情)を生かして
添削 暖房の電車に一つ乗り過ごす

投稿者:楓山人さま
原句 蝋梅や山うすら日に道祖神
感想 良い風景に目をつけられました。ほとんど出来上がっていると思いますが、一点表現
   上での問題は「山うすら日」。正確には「山のうすら日」ということでしょうか。こ
   の句で言いたいことのポイントは、臘梅と薄い日差しの中にいる道祖神の二つ。わざ
   わざ山であるということを言わなくても良いと思います。
添削 臘梅や淡き日差しに道祖神

八一郎さま
原句 時雨るゝや線香燻ぶる泉岳寺
感想 高輪の泉岳寺は赤穂浪士四十七名とその主君であった浅野浅野内匠頭が葬られている
   ことで有名で、いまでも多くの人々がその墓を訪れています。掲句、句の形としては
   十分できています。但し、この景は多くの人々が詠んでいる景でもあります。もう一
   歩踏み込んで、泉岳寺を見てみると新たなものが見えてくると思います。このままで
   結構です。

杉浦 太一さま
原句 買初の去年に忘れしものひとつ
感想 面白い着眼点だと思います。句の形としても十分にできていますので、このままで結
   構です。

仲山さま
原句 冬の海グラバー園より眺めけり
感想  長崎は海からすぐにせりあがるように街ができています。掲句のグラバー園は南の山
   手にあり、眼下に長崎港、指呼に長崎の町並みが見えます。その情景を素直に句にさ
   れていますが、その分少し情景の報告になってしまった様に感じます。眺めるという
   措辞は、もともと作者がある情景を見て句を作っているわけですから、省ける言葉の
   でしょう。また、中がは八文字の字余りとなっています。字余りの場合は頭に持って
   くると、調子が安定します。ここは思い切って上八の破調にして、
添削 グラバー邸より海越しに冬の街

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皆さま 1月10日(土)

 投稿者:三代川  投稿日:2009年 1月10日(土)10時38分22秒
返信・引用
  長らくお待たせいたしました。今年最初のご依頼の添削・質問への回答となります。
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渡辺弘道さま
質問
  「迎える」は、広辞苑によりますと、室町時代以降、や行下二段活用
  に転じたとあります。ところが、俳句の中に、「迎へる」としてあるものを
  見かけますが、どちらを使うべきなのでしょうか?ご教示いただければ幸です。
回答
  広辞苑には室町時代よりヤ行下二段活用に転ずるとありますが、これは説明
  不足、舌足らずと言えます。正しく言えば、室町時代より、ヤ行下二段活用
  に転じて使われることもあるとすべきでしょう。転じたと言いっても、広辞
  苑そのものが「向かゆる」「迎かゆ」を採録しておりませんので余計な解説
  と言えます。ここは広辞苑のむかえる【迎える】《他下一》文 むか・ふ
  (下二)を信じ、ハ行にて表記するのが正しくなります。
  なお、広辞苑に「迎ゆ」は採録されておりませんが用例はあります。使っても
  間違いではありませんが、読者から「間違いでは?」と思われる分だけ損をす
  る印象です。


朝子さま
原句 大吉の御籤我が家に初詣
感想 暗いニュースばかりが多い年明けでしたが、縁起の良い年明けとなりま
   した。今年の初詣は例年以上の人出だったとか。これも不景気のせいで
   しょうか。
   内容文体ともこれでいいのですが、「我が家に」としますと、省略した
   「動詞が持ち帰った」「飾った」「神棚に上げた」などなど類推されて
   少々ややこしくなります。そこで
添削 大吉の札ポケットに初詣


淳子さま
原句 遥かなる秩父の山の初霞
感想 関東地方はよく晴れて空気の冷たい三が日でした。私の家からも秩父の
   山並がよく見えました。この句のままで結構ですが、遙かなる秩父の山
   なのか、遙かなる初霞なのか少々あいまいになりました。これを解消し
   少し句に動きを出して
添削 遥かなる秩父の山に初霞


せいちさま
原句 手をつなぎ行けば自づと恵方道
感想 恵方は歳徳神の来る方角で、2009年は東北東だそうです。手をつないで
   歩き始めたら阿吽の呼吸で恵方の方角に歩き出したようです。自づとの
   措辞が面白いと思います。このままで結構です


奈津さま
原句 はやばやと雀群がる飾りかな
感想 句意は早朝からお飾りに雀が群がっているということでしょうか。ただ、
   その景がいま一つ見えづらく思えるのは、雀が群がるほどの大きさの飾
   りがイメージできないことと、はやばやとの表現。なにに対してはやば
   やとなのかが読者に伝わりづらいのだと思います。具体的にしてみます。
添削 明けてすぐ雀来てゐる飾かな


峰世さま
原句 熱燗がすすみてこぼれる愚痴少し
感想 アメリカ発の世界同時不況など暗い話題が多い昨今です。昔の漫才師で
   はありませんが「責任者出て来い」と大声をあげたいところです。
   俳句は五七五の定型を基本としています。この句の場合は中八となって
   しまいました。このような時にはどのようにすれば定型にできるかを考
   え推敲をする癖をつけることが必要です。私も安易に字余りや破調に流
   れることのないように作るという矜持を持ちたいと思っています。
添削 熱燗や愚痴一わたり吐き出して


南雲 春渓さま
原句 書き初めに拙句を使う恥ずかしさ
感想 書初に(正しくはこの書初と表記します)ご自分の句を使うことは全く問題
   ありません。書初と同じ意味で試筆という季語がありますが、これなどは多
   くの人が自分の作品の揮毫というように理解しているようです。
   原句、恥ずかしさは主観をモロに出していますので、やや言い過ぎのように
   感じます。たとえば「書き初め」と書いて、「これは送り仮名が要らない」
   と気づき、それを直したという光景を
添削 書初の句のてにをはを考ふる

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皆さま

 投稿者:三代川  投稿日:2008年12月28日(日)11時10分3秒
返信・引用
  長らくお待たせいたしました。ご依頼の添削依頼・質問への回答です。
本年最後の添削、ご質問への回答ととなります。来年も皆さま方とご
一緒に俳句を学んでまいりたいと考えております。どうぞよいお年を
お迎えください。

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高円寺さま
質問
新年の季語、福寿草は野外では3月に開花しています。
これらを詠んだ場合、当季雑詠がルールなら、句会への出句はシクラメンは翌年
の2月以降、福寿草は翌年の正月まで見合わせた方が良いのでしょうか。

歳時記に掲載されている季語と実際にそれを目にする時期の違いについてのご質問
についての私なりの考えです。
まずポイントになるのは新暦と旧暦のこと。旧暦の正月は新暦では2月ですので立春
を過ぎているため「初春」と言う言葉がぴったりと当てはまります。その意味で福寿
草は新年の季語として定着してきたのだと思います。また、現在のシクラメンの旬は
温室栽培のせいで12月のクリスマス前などですが、昔は露地栽培でしたから春の季
語となったのでしょう。先人たちが大事にした季節感から生まれてきた季語を使う場
合は、「皆と季感を共有できるか:共通の感覚を持てるか」が基準となると考えます。
ほとんどのものについては、多くの歳時記に採録されているタイミングで使うのがよ
いでしょう。吟行での嘱目吟であれば、その場や時間を参加者が共有しているため、
三月の福寿草でも皆の共感は得られやすいと思います。
その場合は歳時記と季節が違うということを意識しての確信犯的こととなるでしょう。
少しづつ季語の季節も変化してくるものが出てきそうです。


峰世さま
原句 師走来て喪中はがきに気が沈み
感想 私のところにも欠礼の葉書が多くきました。中には古い友人の奥様からのもの
   もあり、やるせない気持ちとなりました。この句の場合はその作者の気持ちを
   ダイレクトに表現してしまっているところに、読者との共感性という点で問題
   があります。ここは気持ちを抑えて
添削 十二月また一つ消す住所録

こーじさま
原句 影法師冬の夜道を歩みをり
感想 夜道での影法師はいつの季節でもありますが、冬になると目につくのは背を丸
   め、うつむきがちに歩くからでしょうか。冬の夜道でのスナップ。このままで
   結構です。

ひかりさま
原句 家並に挟まれてをり雪の峰
感想 街の家並の間から冠雪した山が見える。冬らしい情景です。この句の場合の
   問題は「挟まれてをり」。家と家との間から見えるということを「はさまれ
   て」と表現したのだと思いますが、厳密には家並の間から見えたということ
   でしょう。ここは言葉を飾らずに
添削 雪の峰低き家並の間より

りんどうさま
原句 村道のゆるきカーブや豆筵
感想 二句一章の句の難しさはその対照させる物の距離感。この句の場合は村道の
   カーブと豆筵の関係があまりにも離れすぎて、作者が感じた感動がうまく伝
   わってきません。情景を少し限定して
添削 杣道の途切るるところ豆筵

ふう子さま
原句 枯蓮のひしめく水沼日矢の束
感想 荒涼とした枯蓮に雲間からのいく筋もの日矢が差し込んでいる情景。感覚的
   的に良い所をとらえていると思います。俳句は短い詩型、どのようにして言
   葉を省くかが推敲の要諦でもあります。この句の場合は枯蓮のあるところは
   池や沼ですので、あえて表現は必要ないかもしれません。また日矢の束の表
   現は日矢が幾筋も束ねられているということになりますので少し無理がある
   かもしれません
添削 枯蓮のひしめくに日矢太きかな

杉浦 太一さま
原句 野良猫の思ひ思ひに冬日向
感想 私の友人の娘さんが写真家で十年間にわたり野良猫を撮り続け写真集にしま
   した。タイトルは「ちいさな宝物(金森怜奈作)」その中には厳しい環境に
   生きる野良猫の色々な姿が撮られています。この句は野良猫の束の間の幸せ
   なひと時のスナップ。良い光景です。「思ひ思ひ」の表現をもう少し具体的
   にしてみました
添削 野良猫の向きそれぞれの日向ぼこ

高円寺さま
原句 都心より富士見る今日の冬日和
感想 冬の空気をせいでしょうか、我が家から見える富士山もひと際はっきりと
   見えます。この句の表現で曖昧なところは「都心」の表現。思い切って具
   体的な地名をもってきてみました。
添削 築地より富士見る今日の冬日和

せいちさま
原句 去年今年古語となりゆく「数え年」
感想 俳句は作者の感動を五感を働かせ表現をするものです。知でつくるとどう
   しても機智や風刺などが出てきて川柳になってしまいます。この句の場合
   も「古語となりゆく」の表現がどうしても川柳の匂いを強めてしまってい
   るように感じます。ここは理屈ではなく
添削 去年今年父の齢を越ゆるかな

淳子さま
原句 冬夕焼病む身に意欲くれる如
感想 冬の夕焼けはその時間が短いゆえに印象的な美しさを持っています。作者
   はその夕焼けから意欲をもらったようです。何の意欲なのかをそう少し具
   体的にしてみました。
添削 冬夕焼病は癒ゆと言ふごとく

正憲さま
原句 掛大根富士の裾野の晴れわたり
感想 大きな景をてらいなく詠んでいます。一読、気が晴々するような感じがし
   ます。このままで結構です。

江生さま
原句 托鉢へ僧の草鞋や霜柱
感想 托鉢は修行。寒風の中、動かずに托鉢を続ける僧の姿をよく見かけます。こ
   の句の場合の問題は、上五の「へ」の使い方。「へ」は移動性の動作に付く助
   詞。托鉢へ行く僧の草鞋のことをいうのであれば、「托鉢の僧の草鞋や」とな
   るでしょうし「托鉢へ行く僧が草鞋をはく」ということであれば「托鉢へ僧は
   草鞋を」となります。今回は
添削 托鉢の僧の草鞋や霜柱

岩田 勇さま
原句 なかんづく聖夜の町内警備かな
感想 「なかんづく」は「とりわけて」とか「特に」という意味。そのことがこの句
    の意味をわかりづらくしています。なぜ聖夜の町内警備が特別なのかが読者
    にはうまく伝わってきません。ここは町内警備であったことを素直に
添削 夜回りや聖歌きこゆる路地の奥

仲山さま
原句 冬の雨しっとり塗れて天主堂
感想 教会が冬の雨に濡れそぼっている光景です。「塗れ」は「濡れ」のミスタイプだと
   思いますが、雨が降れば濡れるのは当たり前のこと。俳句は十七文字という非常に
   短い詩型ですから、読者が容易に感じてくれることや、ある意味で季語を説明して
   いる表現を省略する必要があります。
添削 冬の雨昼より灯る天主堂

菅原 正志さま
原句 冬耕の畦より続く水蒸気
感想 大変、良い景を発見されました。俳句を作っていなければ何気なく見過ごしてしま
   うものです。表現上のことで言うと。水蒸気は水が気化したもので眼には見えませ
   ん。気化したものが冷えて水滴化し、それが集まったものが「雲・霧・靄・湯気」
   となります。また「畦」の文字は「あぜ・うね」と読めます。「畝」の文字は「うね」
   と読みますので、この文字を使いました。
添削 冬耕の畝それぞれに湯気を立つ

利さま
原句 骨のみの傘となりたる霜覆
感想 傘を霜よけ代りにしていたものが「骨」だけになってしまったのでしょうか。その
   姿に哀れさを感じられたのでしょう。難しい所ですが、有季の句の場合にはその季
   語の本意本情をどのように把握するかということが重要であると考えています。そ
   の意味では「霜覆」は庭木や草花を霜から守るためにあるものとして表現をした方
   が読者の共感は得やすいと考えます。
添削 父母に供ふる花に霜覆

八一郎さま
原句 シクラメン六十路の君に贈りけり
感想 今回の質問の中にありましたが歳時記上では「シクラメン」は春に分類されています。
   明治時代に伝わった花で、当時は露地栽培をしていたため春に分類されたものと思い
   ます。この句、奥様に対する思いがよく出ていると思いますが、少し説明調になって
   しまいました。
添削 シクラメン見たつる妻の誕生日

俳句は世界で最も短い詩型。17文字で自分の心情を語ろうとすると難しい
ものです。対象物を十分に観察して感じた感動を物に語ってもらいましょう。
これからも俳句を楽しんで学んでまいりましょう
http://434.teacup.com/riki/bbs?M=JU&JUR=http%3A%2F%2Fwww2.ocn.ne.jp%2F%7Eriki%2F
 

皆さま

 投稿者:三代川  投稿日:2008年12月14日(日)10時37分57秒
返信・引用
  皆さま
大変お待たせいたしました。ご依頼の添削依頼・質問への再回答です。
昨日掲載いたしましたものには一部校正に誤りがありました。皆様に
ご迷惑をおかけしましたことをお詫びいたします。


雲の峰のご案内
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八一郎さま
原句 子等つどいふうふう食らう蕪汁
感想 核家族化、子供たちの個室化など団欒ということが実際の形として見へ
   づらくなってきている世相です。この句の場合は「ふうふう」という擬
   態語の取扱。擬態語を使ってはいけないということはありませんが、
   結構吟味が必要です。添削は作者の意図とは少しづれているかも知れ
   ませんが、蕪汁のおいしさに焦点を絞ってみました
添削 熱きを言ひつ大ぶりの蕪汁(七、五、五の破調です)

yunfatさま
原句 産卵を終えし骸に木の葉散る
感想 シアトルからの投句ありがとうございます。よい場面を発見されまし
   た。このような景も俳句を作ろうとしなければ見過ごしてしまうもの。
   俳句をすることで、その場面がスナップとして記憶に残ります。
   掲句、文語表現ですと「終えし」は「終へし」となります。
添削 産卵を終へし骸に木の葉散る

奈津さま
原句 夕時雨はずれ籤玉ぽとり落つ
感想 商店街の歳末大売り出しの景でしょうか。いくら回しても末等の玉ば
   かり、あまり期待はしていないものの少しがっかりといったところで
   しょうか。掲句、季語の使い方について考えてください。時雨は初冬
   の雨で、大体十一月ごろのものとなります。そうすると歳末大売り出
   しの時期とは異なってきます。俳句は季節を大事にするもの、ご一
   考ください。
添削 空風やまたはづれたる籤の玉

朝子さま
原句 川沿ひの茶屋の窓辺や百合鴎
感想 東京の川沿いの茶屋とあると向島あたりでしょうか。あの辺りには
   花街がまだ残っています。この句は茶屋の窓辺と百合鴎の二つのも
   のを取り合わせた二句一章の句ですが、取り合わせの対象である
  「窓辺」の措辞が中途半端に感じます。もう少し視線が集中するように、
添削 川沿ひの茶屋の灯や百合鴎

楓山人さま
原句 軒先の大根眩し美女の笑み
感想 掲句を文章で見てみると「軒先の大根眩し。美女の笑み」というよ
   うに眩しい大根と美女の笑みの二つの物の取り合わせとなります。
   そうすると大根と美女の笑みではあまりにも関係がなさ過ぎて読者
   には理解できません。絵画でも俳句表現でも基本はデッサン。その
   意味でも見た物、聞いた物を写生する必要があります。ここは見た
   ままを
添削 軒に干す大根の白まぶしめり

俳句は世界で最も短い詩型。17文字で自分の心情を語ろうとすると難しい
ものです。対象物を十分に観察して感じた感動を物に語ってもらいましょう。
これからも俳句を楽しんで学んでまいりましょう

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投句の規定について

 投稿者:三代川  投稿日:2008年12月14日(日)10時20分56秒
返信・引用
  杉浦さんのご質問の投句の規定ですが、「俳句 添削・添削コーナー」のトップに記載してあるとおりです。続けて添削をご希望の場合にはご自身の句の添削回答日から2週間以上あけて次の依頼をお願いいたします。
尚、なるべく定期的に添削をするよう心がけますが、時間の関係などでどうしても不定期となることが考えられます。その点はご容赦ください。

http://www2.ocn.ne.jp/~riki/

 

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