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たいへんお待たせいたしました。
ご依頼の添削依頼・質問への回答です。句作りにお役立て下さい。
雲の峰は会員作品を中心にした月刊俳誌です。作品の紹介・鑑賞・連載などに加え、句会での指導を筆録した「俳句の肝どころ」など、初心の皆さまでも楽しみつつ俳句の勉強ができます。
★半年会費(6000円)又は1年会費(12000円)をご納入いただきますと会員になれます。会員には月刊俳誌「雲の峰」をお送りします。
★入会後1年間は特別添削指導を行います。1ヶ月5句。無料です。
★入会時に1年会費をご納入された皆様には、皆川盤水編「実用季寄せ」または朝妻力句集「晩稲田」を差し上げております。
雲の峰ホームページの「雲の峰紹介・新会員募集」
http://www2.ocn.ne.jp/~riki/intoro/indexe.htm
ご参照の上見本誌をお申込み下さい。
池田 楓様
原句 蓮の露半ばをこぼし立ち直り
感想 蓮の葉でありましょう。溜まっていた露を半分ほど零して立ち直
ったという光景。いい場面を見つけました。
表現について考えてみます。立ち直った主体が何かを特定できま
せん。強いて特定しようとすれば露になってしまいます。ここは
蓮露を半ばこぼして……
とする必要があります。また「直り」は連用形といいまして、言
いさしの形です。一句に一箇所は言い切り(終止形)ましょう。
また蓮と露と二つの季語が入りました。全体の状態を表すには蓮
の葉を抜くわけにはいきませんので、露を雨などに変える必要が
あります。
添削 雨半ばこぼし蓮の葉立ち直る
杉浦 太一様
原句 目つむりて虫の声聴く露天の湯
感想 露天の湯が虫の声を聞いている印象になりました。形は
添削 露天湯に目つむり聴く虫の声
となります。これで一応は完成となりますが、類句類想の多さが
気になるところ。あと一歩踏み込んで詩情を探すとまた面白い作
品ができあがります。
川村淳子様
原句 はかなさや蝉の命終ゆ白き腹
感想 終ゆ、正しくは「終ふ」となります。句点(。)を打ってみます。
はかなさや。蝉の命終ふ。白き腹。
と三段切れになりました。言葉が断絶しているだけに全体の意味
が通らなくなります。
案 はかなさや落蝉白き腹を見す
いったんこうなりますが、はかなさが主観的すぎます。ここは
添削 夕風や落蝉白き腹を見せ
利祥様
原句 久方に空縦に割れ雷雨来る
感想 久方は天・空にかかる枕詞(まくらことば)。久し振りにというこ
とでしたら、「久し振りに」「久々に」などを使います。
一句全体の主語が雷雨でありますので、「空縦に割れ」ではなくて、
「空縦に割り」とするのが正しい表現となります。
添削 空縦に割り久々の雷雨かな
きまいら様
質問 諧謔句成功の秘訣をお教えください。
回答
例えば山本健吉によりますと「即興・挨拶・滑稽」とありますように、
俳句の要素として「滑稽」が存在することは確かです。辞書には滑稽の
「滑」は乱、「稽」は同の意。知力にとみ、弁舌さわやかな人が、巧みに
是非を混同して説くことをさすとあります。
一方、諧謔はおもしろい気のきいた言葉。おどけ。しゃれ。などで滑稽
とは微妙にニュアンスが違います。おどけや洒落は俳句には要らない要
素という気がします。そこでここでは滑稽についての愚感を……。
名にめでて 折れるばかりぞ 女郎花
われ落ちにきと 人に語るな
この歌、僧正遍照が嵯峨野の落馬のとき詠める歌なり。
俳諧の手本なり。
詞いやしからず、心ざれたるを上句とし、
詞いやしう、心のざれざるを下の句とする也。
服部土芳の「三冊子」の一節です。遍照の歌の意は、
その名の通り、折れるばかりにしなやかな女郎花よ。
(この美しさに惑わされて)
私が落ちたことは、誰にも言わないでくれ……。
現実には落馬した折りに女郎花を見つけたのでありましょう。そこで「私
が落馬したとは誰にも言わないでくれ」というせりふが生まれた。
この歌を読む限りでは落馬したのか、女郎さんにころりと参ってしまっ
たのか分かりません。作者が僧正という地位の僧侶であるだけに思わず
くすりと笑いたくなる内容。これが
詞いやしからず、心ざれたるを上句とし、
詞いやしう、心のざれざるを下の句とする也。
の上句なのでしょうね。
世間のことを知らずに申し訳ないのですが、最近、身近で滑稽を感じた
作品をあげておきます。
鈴鳴らし蛇を急かする添乗員 鶴田 武子
眼張釣り一尾に一日使ひきる 岡本 明美
長閑けしや離宮の畑に肥袋 木村てる代
繰り返しになりますが、単なることば遊びやおどけや洒落は俳句には不
要と思います。
奈津様
原句 鰯雲一言多きを悔やみ居る
感想 一言を悔やむ……。よくあるだけに身につまされる内容です。
原句は中七が八音の字余り。一言と言えば、多いは要らないので
はないか……。そんな気がします。また「居る」は現代語の「居
る」(終止形)なのか、文語の「をり」の連体形なのか、ちょっと
ややこしい所があります。
添削 一言の重み思へり鰯雲
と、多い、悔やむと言わなくとも強烈に伝わってくれます。
敬ちゃん
原句 夕立や季節がかわる時を知る
感想 夕立やの「や」は文語。「季節がかわる」は口語(現代語)。一句
の中に文語口語が混在するとちょとした稚拙感が出てしまいます。
自己流では何十年やってもどこか疵のある作品が目だってしまい
ます。そんな意味で、もし俳句をしっかりと学ぶのであれば基本
を学習しましょう。
添削 夕立に一つの季節過ぎゆけり
トツ様
原句 夏暁や雑魚の跳ね交ふ仕掛け網
朝焼や能登沖にひく仕掛け網
感想 どちらが……ということですが、具体的という点で一句目でしょ
うね。ただし、雑魚が跳ねているとするとこれは漁師さんには気
の毒な情景。鯵なら鯵が跳ねている方がいいのです。
仕掛け網としていますが、実際には、何網なのでしょうか。定置
網・刺網・まき網・底引き網など色々の網があります。どんな網
かを把握し、例えばそこに跳ねている魚の状態を表現します。そ
うなりますと漁船に乗り込まなければ見ることは出来ません。
いずれにしてもちらっと見て作るのではなく、実際にそのものに
触れて作る、触れるほど近づいて作るということを基本にお励み
下さい。
江生様
原句 次世代へ命つなげて蝉の落つ
感想 句形はしっかりできております。句意を考えますと、「次世代へ命
つなげて」という把握は見えるものでないだけに、考えて作った
という印象です。僕たちが考えつくことは大方先人が考えたり研
究している内容。独自の把握とは言えないのが辛いところです。
添削 満ち足りし声を残して蝉の落つ
としてみます。これですと作者の発見であり、考えて作ったとい
う印象は無くなりますね。俳句は考えて作ってはいけない。見て、
聞いて、触れて、嗅いで、味わって……つまり五感(目・耳・鼻・
舌・皮膚)をいっぱいに働かせて作ります。
危機に直面様
原句 陰影の 私を連れて 歩みだす
感想 表記が分かち書きになっていますが、俳句程度の長さですと正し
く表現されていれば通じます。「ここで息を切れ」とか「ここで意
味を断絶せよ」と強要している趣がありますので間にスペースを
入れるのは避けた方が良いです。
原句、季語がありません。例えば
添削 炎昼へ私の影を連れ歩む
となりましょうね。なお、先行する作品に
吸殻を炎天の影の手が拾ふ 秋元不死男
があります。
http://www2.ocn.ne.jp/~riki/
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